日々徒然?になる予定
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
・原作未読でうぃきと二次の知識しかないよ!
・相変わらずご都合主義だよ!
・雁おじ大好きだ!!贔屓するよ!!
・夢小説だけど名前変換できないよ!
・葬神主メインだけど藍色主もでばるよ!
・葬神主のデフォ名はフレイ!!
・藍色主のデフォ名はセツになっているよ!!
・沈黙主のデフォ名はスィレンツィオだよ!
・一人は鯖だよ!!
・二人は使い魔だよ!!
・藍色主の零とは別設定だよ!
・相変わらずご都合主義だよ!
・雁おじ大好きだ!!贔屓するよ!!
・夢小説だけど名前変換できないよ!
・葬神主メインだけど藍色主もでばるよ!
・葬神主のデフォ名はフレイ!!
・藍色主のデフォ名はセツになっているよ!!
・沈黙主のデフォ名はスィレンツィオだよ!
・一人は鯖だよ!!
・二人は使い魔だよ!!
・藍色主の零とは別設定だよ!
願望と契約
あの後、雁夜とそのサーヴァントであるバーサーカーが何も無くなった蟲蔵から抜け出したのは、空が白み始めた頃だった。英霊召還の為に自らの血肉を喰らう蟲の痛みに意識を飛ばし、再び目覚めた時にはバーサーカーはその腕に蟲蔵に入れられていた幼子・桜___雁夜がこの聖杯戦争に参加し、助けたいと望んだ大切な人の子供___を抱いてた。桜の瞳は濁り、子供特有の輝きを喪っていた。あの糞爺の策略のせいでほとんど顔を会わせることが出来なかった幼子が、今確かに雁夜の目の前にいた。
「桜ちゃん……ごめんね」
何とか動く右腕でぎこちなく彼女の頬を撫でた。早く助けられなくて、独りにしてしまって、こんな家に来させてしまって。伝えたい言葉はあっても上手く言葉に出来ずに、口を噤んだ。
桜は無言のまま、首を左右に振る。瞳の奥の感情を読み取るのは難しいが、別に良いのだという思いは汲み取る事ができた。
もっと話す事も考えなければならない事もあるがこの場では不適も良い所だ。漸く、気付き『ともかく移動しようか』と雁夜が口にしたのはそれからしばらくの事だった。
屋敷が普段よりもがらんとしたように感じられるのは、聖杯戦争の為に使用にほぼ全てに暇を出したからに違いない。身体を引きずるように動かして雁夜がリビングのソファに座り、綺麗に着替えさせられた桜をバーサーカーがそっと隣に下ろした。ぼんやりとした桜の瞳がバーサーカーを映し込むように見上げた。バーサーカーの方も表情が変わる訳ではないが優しい手つきで、桜の頭を撫でた。それから足早に部屋を後にした。
雁夜はその背中を見遣りながら、自身のサーヴァントに思いを馳せた。『何者であるか』。その一言に尽きるだろう。間桐を支配していたあの忌々しい老害を一撃で弑しした。またバーサーカーというクラスにも関わらず、言語能力を保有し、思考は正常に働いているように見える。何よりも、英霊の括りにありながら、その姿形が少年と言って差し障りのない弱いである。最盛期が少年の姿ならばその頃に亡くなったか、それ以後病や怪我に倒れたのだろうか。疑問は尽きないが、果たして自身が知って良いのだろうか、と疑問は尽きない。
そんな風に物思いに耽りながら、雁夜は桜の頭を撫でた。反応に乏しいその表情に姿に悲しみを感じたが、また笑えるようになれば良い。蔵硯のいない今ならば、そんな時間を作る事も可能だろう。それに時臣に後悔させるのだって、聖杯に頼る必要はない。ともなれば____。
(サーヴァントをどうするか……)
わざわざ身を削ってまで魔力を渡し、維持する必要があるのだろうか。しかし助けてくれたバーサーカーを自害させるには、良心が痛んだ。
ぐだぐだと悩む雁夜のいる部屋がノックされる。
「雁夜様、桜様、失礼します」
「え?どうぞ」
聞き覚えのない声に疑問符を浮かべつつ、入室を促した。藍色の髪をした青年が食事を乗せたカートを押して入って来る。さらにその後から白く長い髪の男とバーサーカーが続く。見知らぬ人物に雁夜は瞠目した。
そんなマスターの様子が気にならないらしいバーサーカーは向かいに腰を下し、その後に白い男が立ち、藍色の髪の青年が細々と配膳する。土鍋から卵粥がお椀に装われ、上に彩り用の小ネギが散りばめられた。米のほんのりと甘い匂いが雁夜の鼻をくすぐり、ここの久しく感じていなかった食欲が呼び起こされた。それは隣に座る桜も同じだ。きゅぅ、と可愛らしい音が鳴り、空腹を訴えている。その二人に藍色の青年は微笑み食事を促した。
藍色の男は食事があらかたすんだ頃を見計らい、口を開いた。
「そのままで良いので耳を傾けていただけますか?」
「ん……もぐ……んん、君たちは何者なのか聞いてもいいのか?」
「はい、まず私は藍川セツと申します」
藍色の青年___セツがそう名乗ると、続けて白い男が名乗る。
「スィレンツィオだが、長かろう?雪とでも呼んでくれ」
「…………***」
「え?」
バーサーカーが沈黙の後、名前を言ったようだが雁夜には聞き取れなかった。まるでそこだけ別の音が割り込み聞かせないようにしているみたいだ。もう一度聞き返しても、雁夜の耳に届く事はなかった。
「あー、”契約”ではないからでしょうか」
「おそらくそうだろう」
「………………」
「えーと、どういこと?」
「そうですね……簡単に言えば『契約をしましょう』でしょうか」
セツは朗らかに笑いながら、呼び出された以上、契約は必須ですがね。と、なんでもない様に付け足した。雁夜に拒否権はないようだ。
* * *
雁夜は与えられた情報を整理すべく黙考する。曰く、バーサーカーのクラスを持って召還された”彼”は、英霊と括られるものではないようだ。まだ死んではいなし、魂の状態だけで身体を置いて移動___つまり幽体離脱を起こすことがままあるらしい。幽体のまま彷徨っている時に雁夜の召還に巻き込まれて、マスターの前に現れたのだ。
魂を令呪をもって一時的に留めているだけで、契約を交じわさなければ、明日にも彼らはいなくなるらしい。そのまま契約が流れてしまえば良いのではないか、と雁夜自身は思ったが、問題が残る。”彼”__以後便宜上バーサーカーと呼ぶとしよう___は雁夜の願いに応えてこの世界に来た。つまり、招かれた者の願いを叶えずに去ると、両者にキズがつく。現世の躯に、星世の運に、天世の魂に。その結果どうなるかまでは雁夜の想像の範囲外だが、その瞳は真剣な面持ちで射抜いた。
雁夜は何を願ったのだろうか。身を喰われる激痛に苛まれながら、願った事。未だ断ち切れぬ初恋のあの人のことか。その人を奪い、桜を間桐に追いやったアイツか。いや、違う。ただ一つ、願ったのは___。
「さくらの、しあわせ」
ぽつり、とバーサーカーが、雁夜の考えを裏付けるように呟いた。その人形のようなと言って良い程、表情の色を乗せないバーサーカーの瞳が優しく雁夜に微笑みかけたように感じた。
「うん、契約してもいいよ」
「《契約》」
バーサーカーの身の内より取り出されたそれは羊皮紙のような形をしているが、淡く黄金色に光り、魔術師として未熟な雁夜にも解る様な静謐な魔力を有している。その上を文字が踊り、『間桐桜の幸せ』という文字が綴られていた。さらに下に条件が浮かび上がる。
一つ、間桐桜の幸せを目的とした契約である
一つ、この場合の幸せを、選択できる多くの未来とする
一つ、***は契約者・間桐雁夜の意志ではなく、間桐桜の意志を最優先とする
一つ、間桐桜の幸せに必要であると思われるものを、***の任意で干渉及び行動を可能とする
契約内容を熟読してから、雁夜は自らの名をそこに記す。署名が終わると、ソレは二つに別れ、一つが雁夜、もう一つをバーサーカーの手に渡り、肉体に溶けた。ほぅ、と溜め息が雁夜の口から漏れる。知らず知らずの内に身体は緊張していたようだ。
「よろしく」
「あぁ、よろしくね」
これにて、間桐雁夜とバーサーカー(仮)の陣営が誕生したと言えるだろう。
おわり
PR
この記事にコメントする