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日々徒然?になる予定
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支部にうpしようと思って書いていた奴。
書き上がったのは、0730だけれども、最初の投稿日が0704の黄笠運命の日だったもんで、変更をやめました。
きっと続かない!







人間とは愚かな生き物だ。

大地を血に染め、骨の髄まで敗者を啜る。

人間以外を厭み、妬み、嫉み、卑下し、踏みにじる。

人間の胴欲さに人ならざる隣人達はこの世界を捨てた。

その後残されたのは智慧のない獣と荒涼とした大地だけだった。

緑は消え果て、水は枯れ、大地には死が蔓延した。

それでも人間はしぶとく生きながらえ、適応させていった。

少しでも生き残るべくとある天才魔導士が生み出したのは、八体の人造精霊。

それらで囲み、命溢れる楽園を天才魔導士は造り上げた。

人造精霊の力をもって人間は再び野に増え出したのだった。



プルシャの卵は割れた



 数年に一度、この梔(クチナシ)の国を含めた八つの国は国を上げて祭りを行う。いつになくこの時は国全体が浮き足立ち、賑やかさを増す。その祭りの名は『精霊の花嫁』。美しい少女を精霊様の巫女として祭り上げる、誉れあるその職に着くのを祝うのだ。彼女らは精霊の傍に仕え、国の繁栄と豊穣を祈るのである。

『実にくだらないッスねぇ』

 半透明の少年は楽しそうに行き交う人を屋根の上から見下ろしてそうせせら笑った。
 楽しそうな平民とは裏腹に十幾ばくかの少年の足元の精霊教会と王城は緊迫した空気を孕んでいる。それも無理はない。
 今年をもってして、約束の千年目を迎えてしまうのだから。
 少年__キセはその姿の通り、人間ではない。忘れられて久しい御伽噺の天才魔導士が生み出した人造精霊:キセキの一体である。生み親である魔導士の願いにより千年の時間この地を守護して来たが、それも今年で終り。キセは楔から解き放たれて自由になる。

『長くて本当に退屈だったスよ』

 精霊様だ何だって口先だけで祀り、富と権力を求める者で構成された人間。信仰はとうの昔に形骸かされ、キセには届かない。こんな人間をかつての精霊や妖精・妖魔・神々は見捨てたのだ。そして今、キセも見捨てるのだ。

『このまま、他のキセキの皆に会いに行くのも良いッスねぇ』

 かれこれ千年。希に繋がる通信から生きていることは知っているものの、直接顔を会わしたのは契約に縛られる前。これからの予定がないのだから、旅の目的にしてみるのもいい。開けた明日を思えば、キセの心は弾んだ。
 キセの核たる卵を持ち出して街へ繰り出してから、次の街へ行こう。そう決断を下せば、行動は早かった。



 上からキセが見るよりも街は賑やかに活動している。楽しそうにおしゃべりをする少女達に、熱心に客を引く若者。子供にせがまれて屋台で何やら母親が買って上げている姿を横目に、キセは通り抜けた。祭りに参加している誰もが、笑みを浮かべている。
 人波に揉まれながら足を進めるも、キセはどこか隔てるものを感じた。それが人間と人造精霊の差か将又自身に関係がないからか。取り留めもない思考は、とある音に引きつけらて引き戻された。

(どんな人ッスかね)

 誰もが足を停めて聴き入る。凛と澄んだ音色は弦をつま弾いたもので、人間はリュートとか呼んでいたのをキセは思い出した。時代の流れで楽器を使わぬものに変化していったが、『精霊様』の捧げモノの中では結構気に入っていた。一度気になればどんな人物が奏でているのかと一目見たくなり、人垣を何とか押し避けて前を陣取る。キセの姿は結局の所創られた当初の子供__十幾ばくの見た目だから人垣の後から奏者が見えなかったのだ。
 目的の弾き手は十代半ばも行かぬような少年であることにキセは目を見開いた。少年がつま弾く度に、しっとりとした音が溢れた。少年の独擅場だ。
 最後の音が余韻を残して消え、少年が深々と頭を下げたところで、わっと拍手が湧く。少年の前に置かれた籠の中にチップを入れて観客はまた祭りへと帰って行くのを見送りながら、キセの視線は少年に注がれた。もっと聴いてみたい。そんな欲がむくむくと膨れたキセは少年に近付いた。少年は手早く籠のコインをまとめて懐に入れたりと、片付けを始めているから、早く接触する方がいい。

「ねぇ」
「ん?」
「ねぇってば!」
「あー? もう、なんだよ」

 キセの方に少年はぞんざいな仕草で目を向けた。蒼い蒼い目だ。キセが守護していた国を始め、この世界の人間は黒から茶色の髪と目の色をしている。時々金色の髪の人間がいるものの、他の色彩の目は長い年月存在していたキセであるが見た事がない。

(きれーッス……)
「おーい。チビ助、自分で話し掛けといて何黙りこくってんだよ」
「ち!? 誰がチビっスかー!?」
「おーおー、おまえだ。おまえ」

 美しい演奏とは裏腹に粗野なその人物に正直キセは残念に思った。イメージと違う、が本音だ。ムスっとしたキセなど気にした様子もなく、少年は訊ねる。

「チビ助、親はどうしたんだ? 祭りに夢中で逸れたのか?」
「もー!! 俺はチビじゃないッス!」
「はいはい、悪かったな」

 一項に話が進まないので、少年はからかうのを止めた。

「俺はカサマツ。おまえは何て言うんだ?」
「……キセ」
「キセか……。迷子なら送って行くぞ?」

 目線を合わすように屈みながらそうカサマツは言う。見た目通りにキセを子供だと勘違いしているだ。そのことに気付いたキセは何とも言えない感懐と反抗を抱いた。たかだか十数年しか生きていない人間になんで子供扱いされねばならないのだ。そういう感情こそ彼が幼く見える原因だろう。

「別に保護者なんていないッス」
「…………おまえ、家出か?」
「だから、違うって言ってるでしょ!!」

 ぷりぷり怒り出したキセを宥めるようにカサマツは頭を撫でた。すこしばかり手荒い動きだが、気持ちいい。

「へーへー」
「聞く気ないッスね!」
「じゃあ、祭りで遊ぶか?」
「え?」
「てめぇ一人でほっぽって後で厄介事に巻き込まれたなんて知ったら後味悪りーだろ?」

 ふてぶてしいまでの発言なのだが、カサマツにはよく似合っている。手を取られて、祭りに賑わう街へと繰り出した。



 たかが人間の祭りと見下していたキセであったが、見るもの聴くもの味わうもの、その全てがキセにとって初めて気がつけば、思いっきり楽しんでいた。輪投げに、ちょっとした人形劇に、どーんと丸焼きされた豚。がやがやと煩わしく思っていた喧騒も、自分自身が入ってしまえば、そう気にならない。

「祭りのパレードやってるけど、どうする」
「んー……人が多いのはちょっと」
「まぁ、おまえチビだから見えねぇか」
「チビじゃないッスーーーー!!」

 からかうカサマツにプンスカとキセは怒る。人が多いのが問題ではなく、パレードは国と神殿が主体として行っているのだ。キセが飽き飽きする程の時間付き合っていた、どうでもいい人間。そんなのをなぜわざわざ見に行かなければならないんだ。キセの心中である。
 かく言うカサマツ自身も、パレード__精霊の花嫁を乗せた山車にそれを守るように歩く騎士達__に興味があるわけではないようだ。それ以上パレードに誘うことはなかった。

「で、キセはどうする?」
「祭りのこッスか?」
「家出なら考え直せって言いたい」
「だーかーら、家出じゃないッスよ!」
「まあ、家出かどうかはともかく、オマエ独りでどうするんだ」

 冷やかすのでもなく、真剣な眼差しがキセに注がれた。高々であって数時間の子供に、ここまで心を割くカサマツはキセにしてみれば、出会った事ない人種だ。
 誤摩化すという選択肢はない。いや、したくない、という気にさせる。カサマツがそういう人間だからだ。

「一先ず、他の国にいる友達に会いに行くッス」
「……どこのだ?」
「うーん…………一番最初は暗黒の国かな」
「暗黒の国かぁ……って『一番最初』は?」
「他にも瑠璃の国にも撫子の国にも深緋の国とかにも行くつもりッス」

 キセキの中でもキセが契約を果たしたのは後の方だ。それなのに一度もキセを訪ねてこない所をみると、彼らは『伴侶』を見つけたか、何か気に掛かる存在を見つけたかしているのだろう。そんなキセキの面々の中で唯一キセが把握しているのは、暗黒の国の人工精霊であるクロコだけだ。彼は五百年も経たぬうちに伴侶を得た。恐らくは今も変わらず、その国にいるだろうと予測が立った。
 キセの事情は知らぬカサマツであるが、キセの決心の堅さはその瞳から伺える。カサマツがどうのこうの言おうとも、キセは暗黒の国へ旅立つ。

(さて、どうするか)

 あぁそうか、と無関心を装うには、キセに対して情が湧いていた。祭りを一緒に過ごす中、酷く歳の割りに冷めた金色はきらきらと輝く。冷ややかに人を厭いながら、あまりにもモノを知らない。ならば、カサマツがとれるのは、ただ一つだけ。

「なぁ」
「止めてもムダッスよ」
「そうじゃねーよ。ただ、一緒に来ないか?」
「え」

 カサマツは流れの一座の一人だ。芸を街から街へと売り歩いている。今回の公演は既に終わり、祭りを散策していたのだが、妙な子供を見つけてしまった。放って置くには少々怖い。そんな風変わりの子供を一座に誘った。
 きょとんと驚いた顔のままなキセの頭をカサマツはぐりぐりと混ぜる。

「オマエみたいな世間知らずのガキを独りで放って置くのも心配だしな」
「って、俺はガキじゃないッスよ!?」
「十歳ぐらいの見た目で言われても説得力がねぇよ」
「う、うるさいッス!」
「で、どうする?」

 青い目の光は優しく問いかける。この光とあの音と別れるのをキセはちょっとばかし惜しむ。

「一緒に行ってもいいスよ」
「オマエは本当に生意気だな」

 ごつんとカサマツに小突かれるのも、悪くはない。差し出された手の平を握り、人工精霊は少年達と旅に出るのであった。
 行く先で、様々な出会いと別れを繰り返しつつ、この黄色い人工精霊が『伴侶』を得る事になるはまた別の物語にて、語る事にしよう。ただ彼の隣に、瞳の蒼い青年がいる事は確かである。




十六歳な笠松センパイと見た目十歳な黄瀬君の冒険がはっじまるよー!
この後は海常座で一緒に行動するんです
最初は生意気でツンツンしている黄瀬君ですが、先輩の音楽は好きで弾き始めたらいつのまにか近くにいる感じ
で、懐いたら常に隣りはキープ
森山先輩にも小堀先輩にも渡さないんスからねー!!ってなって欲しい


キセ
人造精霊(アーティフィシャル・ソウル)
見た目は十歳だが実年齢千数歳
現状はロリ婆ならぬショタ爺だが、力が堪ったら十六歳くらいの見た目になる
きっと『チビチビ』カサマツに言われていた分、『ちっさくて可愛いッス♥』って言うようになるんだぜ
現状の性格は海常入学当初の生意気で見下してる感じ

カサマツ
職業は流れの一座・海常で基本リュートをつま弾いている吟遊詩人とかになるんでしょうか
十六歳で、原作より背が小さくて童顔がさらに磨きかかっている
髪は尻尾髪って感じで後の一部が長くなっているイメージ(F/SNのランサーの髪型みたいな)
旅で揉まれているので腕っ節は強い

世界
・精霊とか妖精とかが去った後の世界
・人類滅亡の危機を救ったのは天才魔導士(虹村さん)
・天才魔導士は人造精霊を創り、人造精霊の力を借りて大地を安定化させた
・人造精霊の数=国の数=八つ
・精霊は本能として生涯の『伴侶』を選ぶ
・梔(クチナシ)の国にキセはいる
・他にも深緋(コキヒ)の国:赤司、撫子(ナデシコ)の国:桃井、紫紺(シコン)の国:紫原、常磐(トキワ)の国:緑間、瑠璃(ルリ)の国:青峰、暗黒(アンコク)の国:黒子、錫(スズ)の国:灰崎

プルシャの卵
インドの創世神話に登場する金色の卵
中にプルシャが入っており、原始の海に漂い長い間孤独に生きて来た
卵が割れて生まれたのがプルシャ
プルシャは自身の肉体を利用して様々な生命を生み出した

プルシャ
サーンキヤ学派では、精神原理プルシャと物質原理プラクリティが対置されている。サーンキヤでは、プルシャは物質的要素をまったくはなれた純粋なもの、とされる。同学派は、「私はだれだれである」とか「私の何々は」といった意識は、プラクリティから生じた心理器官に属する、とし、それらの意識は上位器官である理性に属する、とするが、プルシャはそうした意識や理性とは別である、とし、またプルシャは様々な感情とも異なる、とする。プルシャは、プラクリティの展開がつくりだす現象世界を観照する、とする。プルシャを説明するのに、水面や鏡に映った映像を見る人のたとえが用いられている。




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