日々徒然?になる予定
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まぁ、男だからその日に誰かにあげたい事はなかった。
それが普通だし、これからもそんなことはないと思っていた。
「でも、気付いたら恋人同士になってたんだよなぁ………」
俺・七地健生は紆余曲折を経て、五つ程年下の同性の布椎闇己君とお付き合いしていたりする。
どうしてこうなったのか、自分でも上手く説明できないので、割愛させて貰うとして………。
恋人になった訳だし、バレンタインとかって送るべきなのかなぁ。
うーん、送んなかった後が怖い気がする。
でも、闇己君あんまり甘いもの好きじゃないみたいなんだよね。
贈るかどうか。
贈るにしても何を?
家族や義理以外のチョコレートを、貰ったことがないからどうしようかな。
そんな折り、フラリとデパートに寄ったんだ。
そうして手に小さな箱を手にして家路についた。
でも、考えて見れば、用意しなくて良かったのかもしれない。
そんな思考に至ったのは、バレンタイン当日に訪ねたことだ。
今年は平日だったし、闇己君の美貌なら引く手数多。
格ゆう俺の妹の夕香だって、珍しく台所に立って手作りチョコを作ってたな………。
俺は甘いもの嫌いじゃないからいいけどね………。
持ってきた小さな箱を思うと少し切なくなった。
いつものような何気ない会話を繰り広げながらも、今日は来客が多かった。
夕香がチョコを渡しに押し掛けて来たり、そんな夕香に会いに来た蒿君・料理の得意な海都波君がチョコレート菓子を差し入れてくれた。
甘さ控えめなチョコレートケーキすごく美味しかったな〜。
時刻も6時を回れば、各々に捌けていった。
明日は朝から江馬先輩に代理頼まれて、バイト行かなくちゃいけないんだよなぁ。
そろそろ帰らなきゃ。
さて、どうやってコレ渡すか………。
「おい、七地」
「え?ごめん、何?」
うっかり聞き逃していた俺に、闇己君は不機嫌そうな顔をした。
うん、ごめん。
わざとじゃないから、怒んないで欲しいなぁ。
「アンタから何も貰えないのか?」
「へ?」
闇己君は真剣な目差しで俺を覗き込んだ。
闇己君の右手は優しく撫でるように俺の頬を滑り、更に詰め寄り唇を拐った。
「んぅ………」
交わしたキスは深くなり、体に熱が篭った。
思考を放棄しつつ、俺は懸命に闇己君の舌に絡める。
気持ちよくて、他のスベテがどうでもよくなる。
俺が呼吸困難寸前!となって、漸く唇が離れた。
口端から漏れた唾液で何時もより潤った闇己君の唇が色っぽい。
「で、チョコは?」
「ふぇ?………あぁ!チョコ!!」
遥か彼方にぶっ飛んだ思考を微かに呼び戻し、コートの外ポケットを漁る。
例の小さな箱を闇己君にそっと渡した。
「開けてもいいか?」
「うん」
深いインディゴに真っ白なリボンの小箱を丁寧にとってゆく。
宝石のように鎮座しているお菓子が見える。
棒状のそのチョコレート菓子を闇己君は珍しそうに眺めた。
「これは___?」
「オランジェットだよ。それはオレンジピールをチョコレートコーティングしているお菓子でね、試食してみたら美味しかったし、闇己君は甘いものあんまり好きじゃないみたいだったから………」
緊張と不安から矢継ぎ早に言葉を並べていく。
それに………は、恥ずかしいッ!!
うぅ、自分で穴を掘ってでも隠れたいよ!
………………………。
なんで何にも反応がないんだ?
恐る恐るふいていた顔をあげた。
「七地」
「な、なに?」
ほぼ毎日と顔を会わせるから、当然見慣れている闇己君の顔。
ふっ、と柔らかく微笑んだのだ!?
何時もの凛々しい闇己君はカッコいい。
力強く、刀のように揺るぎない、真っ直ぐで、どこか近寄り難い。
そんな雰囲気が笑うことで和らぎ、闇己君の美しさが全面に押し出された。
「アンタが俺のことを考えてくれるのが嬉しい」
凶悪だ!!
顔が今まで以上に火照りを感じる。
もう!
何でこんなにタラシのスキルがあるんだよ!?
ぱくぱくと口は開けど、衝撃的で言葉が出ない。
ただ、闇己君の肩に顔を埋めた。
「で、勿論今日は泊まるんだよな?」
「え?」
「俺を煽ったんだから責任をとれよ」
「ちょっ、ま、まっ!」
「問答無用」
この後、闇己君にガッツリ喰われたことを記しておこう。
おわり
オマケ
「ん、美味いな」
「良かった〜」
「オレンジの風味があるから食べやすい」
「でしょう?」
「アンタも食べないのか?」
「え?俺はいいよ。闇己君の為に買ってきたもんだし」
「ほら、口開けろ」
「え?(これって………)」
「早く口開けろ」
「えぇ!?(恋人同士がやる『あーーーんvv』ってヤツですかーーー!!?)」
むぎゅ
「来年は手作りを期待してる」ニヤリ
「えぇぇぇぇぇぇえ!?」
おわれ
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