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日々徒然?になる予定
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・965ネタ
・kksではありません、マイナーです
・リハビリ作品
・一応前回の黒笠と同じ世界のつもり
・つまり、なんちゃってファンタジー
・時間軸は前回よりも前




〜登場人物〜
カサマツユキオ:下半身が魚な水の精霊(イメージ人魚)
クロコテツヤ:ヤンデレな魔導士
カガミタイガ:黒子の使い魔で火の魔獣
New!!
タカオカズナリ:腕が鳥の翼で足が鳥の風の精霊(イメージセイレーンやハーピー)

〜傾向〜
黒笠・高笠


風は、何処にでも、吹いている。



それを探す腕は残っているから



 タカオカズナリがこの世界に生まれ落ちた時、一番最初に飛び込んで来たのは空でもなく、ましてや自身の仲間でもなかった。その人__正確に言うならば違う__美しい青を身に纏ったヒトであった。
 その人__カサマツユキオはまだ力の安定をしていない高尾を見守り、世話を焼いて、色々なモノを教えてくれた。それは魔力の塊で、この世界の理の一欠片を抱く精霊として他に類する者がいない精霊がする行動ではない。例え存在が安定しなくても力は強力であるし、知識自体は有している。それ故に精霊は群れない。ましてやタカオは風の精霊で、カサマツは水の精霊。同一属性でもないのに世話を焼いたのか、タカオは幼い頃尋ねた。

『俺がしたかったからだ』

 あんまりにも正直な答えにタカオは目を丸くした。その様子にふっと笑い、カサマツが己の昔話をした。
 カサマツもまたタカオと同じように庇護下で成長をしたらしい。タカオと違い、カサマツに色々と教えたのはとある孤島に閉じこもる魔導士であった。カサマツの口から語られた数々の冒険譚や物語はその魔導士から教えられたモノが半分。もう半分はカサマツが生きて来た中での体験や仲良くなった者達からの又聴くだとか。

『ねぇ、その魔導士さんは?』

 尋ねられたカサマツは寂しそうに笑った。

『俺が巣立つ頃に、息を引き取った』

 精霊と人だから仕様がないんだ、と付け加えた。人と精霊なら、人の方が圧倒的に寿命が短い。精霊は己の魔力を消費しすぎなければ、寿命はほとんどないに等しい。天敵は欲深い人間ぐらいだ。
 誤ろうと口を開きかけたタカオを目線だけで牽制し、高尾の頭をなでる。少しひんやりとした、澄んだ魔力をタカオに伝えた。

『おまえは風だから、俺よりも色々なところへいけるだろう。様々な妖精や妖魔に魔獣や人間に出会えるだろう。おまえの心に残った誰かや物をいつか教えろ。それだけでいい』

 タカオの忘れることのが出来ない、瞬間であった。柔らかく己に向ける視線はどこまで温かく、優しい。それにむず痒くも、胸を奮わせる何かがあった。タカオはカサマツに擦り寄った。カサマツの育て親の見た風景を__カサマツが見れなかった物を見に行こう。そう決意した。







「カサマツさん、元気かなぁ〜」

 無事に巣立って数十年。タカオは世界の全てと言えば大げさであるが、概ねカサマツが語ってくれたものや美しいものを大分見れた。美しい姫君の名を取った真珠のような砂漠の都市は今や人が住まぬ廃墟となってしまっていたり、炎の精霊がたゆたう火口も覗いた。人間に捕まりそうになった事も、可愛いらしい子供と仲良くなったり、真っ直ぐで不器用で変わった魔導士にも出会った。それ以外にも面白かったことや驚いたこと美しいもの醜いもの。見て来たそれらをカサマツに伝えたくて久しぶりに彼の元に戻る事にしたのだ。

「今度は一緒に行きたいなぁ」

 記憶よりも随分と小さく見える島を旋回する。カサマツは主にこのカイジョウ島を塒としているのだ。数百年程前は世界のあちらこちらを回ったらしいが、今は腰を据えてこの美しい海に寄り添っている。

「カサマツさ〜〜〜〜ん!!」

 そう大声で呼んでも返事がなくて高度を水面ギリギリまで下げながらタカオは再び名を呼んだ。しかしながら返答はなく、小首を傾げながら頭を掻く。一応カサマツの塒といってもずっと留まっている訳ではないのは想像に難くない。どうしたものかと思考すること数分。

「マーメイドか何かいないかなぁ」

 風に自身の意識を向ければ丁度岩場にいる馴染みの子に気付いてタカオは移動する。精霊を害する妖魔はいないし、知能があるモノならば意思疎通を取る事もそう難しくない。和やかに会話しつつもカサマツの事を尋ねたら、マーメイドは顔を強張らせた。

「どうしたの?」

 身振り手振りを交えて話す事数分。事実を飲み干してタカオは安心させるような笑みを取り繕った。

「大丈夫。俺が探してみるから。心配しないで」

 それに安心したのかマーメイドはこくりと頷いて海へと消えた。タカオもまた風に乗って移動を始めた。腑が煮えくりかえる想いを抱えながら、しかし頭は冷静に算段をする。
 曰く、カサマツは炎の魔獣を連れた魔導士によって捉えられたらしい。元素的には水と火。カサマツが負けるとは思えない。しかしその魔獣が高位ならば話は変わる。押し負けることだってあるだろう。
 問題は捉えたカサマツをどういう風にするつもりなのかである。精霊に天敵は殆どいない。妖魔や妖精・天使・悪魔とも良好ないしそう悪くない関係を築いている。その中で最大にして最凶の天敵は人間に他ならない。精霊を利用しようと魔力球や魔具に閉じ込める者。精霊を従えようとする者。精霊を喰らい魔力を得ようとする者。人間に捉えられた精霊の行く末は暗い。
 タカオもそうしようとした人間に出会ったことがある。タカオ自身は運良くこれから行くシュウトクの面々に助けられ、難を逃れた。

「カサマツさん、どうか無事でいてッ!」

 そう願いながら、背中にある翼を羽撃いた。


140518




あとがき
高尾のターンです。
管理人総受けは好きじゃないのですが、高笠・火笠・黒笠・赤笠もいけますからねぇ。
このシリーズを続けるのなら、上のに黄笠も入る予定です。
見切り発車ですがお付き合いしてくださると嬉しい限りです。
タイトルは自作の鬼塚ちひろさんのお題より
ではでは。

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