この年になっても、誕生日を祝ってもらえるのは嬉しいくて、少しこそばゆいものです。
日本では祝日ですが、色々な方からプレゼントをいただきました。
イタリア君からは本場のトマトソースとパスタを。
ドイツさんからは、『減塩のススメ』という本をいただきました。
……そんなに私は塩分過多ですか……。
アメリカ君からは…………これはお菓子でしょうか……？
爺の胃が心配な、蛍光ブルーやショッキングピンクに見えるのは気のせいですかね？
中国さんからは花茶をいただきました。
ここの花茶好きなの覚えていて下さったんですね。
フランスさんからは、ワインです。
他にも日本のサークル仲間や東西南北の多くの国の方から、誕生日プレゼントをいただきました。
本当に、嬉しくて仕方がありません……。
それは本当です。
でも、イギリスさんから何もありませんでした。
別にプレゼントが欲しいわけじゃないんです。
ただ一言でいいから、貴方の口から、『おめでとう』って言って欲しかっただけです。
私も随分欲張りになったものです。
あぁ、今日が後五分で終わります。
今ならロンドンは三時頃です。
……電話をかけてもいいでしょうか？

携帯の規則的な電子音が響く。
ガチャリ
「もしもし？」
『日本か？どうしたんだ？』
「あ、あの、今、大丈夫ですか？」
『あぁ、大丈夫だ』
「今、お仕事の途中でしたら掛けなおしますが……」
『仕事中じゃないから問題ない』
「あの＿＿＿」
ピンポーン
「こんな時間に？」
『どうかしたか？』
「あ、あの少し待って下さいませんか？」
『いいぞ』
日本は携帯を持ったまま、足早に玄関に赴いた。
（こんな時間に誰が？）
（アメリカ君かイタリア君か……いや、もしかして……）
ガラガラ
『「誕生日おめでとう、日本！』」
電話越しと生の声とが重なって響いた。