日々徒然?になる予定
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
・八雲×聖典のクロスオーバー作品です。
・言わずも、B//L要素が含まれます。
・で、闇七(?)です。
・八雲原作から十八年後になります。
・従って、晃己君が16歳になります。
・ぶっちゃけその方が管理人に美味しい
・聖典の原作に沿う様に進みます。
・つまりネタバレします。
・鈍足です。
・広い心を持っている方、大丈夫な方、続きをどうぞ。
・言わずも、B//L要素が含まれます。
・で、闇七(?)です。
・八雲原作から十八年後になります。
・従って、晃己君が16歳になります。
・聖典の原作に沿う様に進みます。
・つまりネタバレします。
・鈍足です。
・広い心を持っている方、大丈夫な方、続きをどうぞ。
“ Yakumo ”
インターネットを中心に活動しているアクセサリーデザイナーの名である。
シルバーなどを始めとした貴金属から、手頃な価格の鍍金のアクセサリー。
ビーズなどを用いた作品もある。
個人でデザイン及び製作をしているらしく、商品の数が少なく、一般市場ではなかなか手に入れ難くなっている。
少々値が張っても、欲しいと望む人物は多い。
藤名閨人などの芸能人もYakumoの作品を所有している人物が多い。
今、売れているアクセサリーブランドの一つと言えるだろう。
聖なる焰 act.01 日常___ずっと当たり前に続いて行くんだと信じていた
ピピピピ ピピピピ ピピピピ ピピピピ
規則的になる目覚ましの電子音が早く起きろと喚いている。
煩わしさを感じながらも、布団から手を伸ばし目覚ましを黙らせた。
俺ーーー八重健生の一日の始まりだった。
鈍い思考回路で今日の予定を組み立てつつ、上体を起こした。
小さなノック音の後、俺の兄ーーー八重《闇己》が寝室に入って来た。
兄って言っても連れ子同士なので、血の繋がりはないんだとか。
「起きたか?」
「うん、おはよう」
「おはよう、タケ」
すっごく整った顔が優しく笑う。
昔から俺は彼を兄のように慕っていたらしい。
何で曖昧かって?
俺は十八年前に両親と共に交通事故に遭った。
両親はそのまま即死。
辛うじて生きていた俺は、両足とそれまでの人生の記憶を失った。
だから両親の事も彼ーーー《闇己》さんの事も覚えていなかった。
体の傷が治っても、事故の衝撃で傷つけた脊髄のせいで足は動かなかった。
それから俺はずっと車イス生活を送っている。
まぁ、俺には立てた記憶なんてちっともないから、慣れっこだけどね。
「ほらタケ、車イスに載せるぞ」
「ん」
いい年して兄に抱えられて車イスに座らせてもらっているのも、情けない話だけどね。
にしても、《闇己》さんは筋骨隆々ってタイプじゃないのに、どこにそんな力があるんだろう?
時間もかからずに俺を移動させる。
「毎朝、ありがとう」
「別に気にしなくていい」
視線を合わせるように覗き込んだ顔は、そのまま俺の頬にキスをした。
俺もキスを頬に返す。
いつまで経ってもこの朝の日課は少し恥ずかしい。
でもね、やっぱり嬉しいな。
そして、ほんのちょっと苦しい気がする。
どうしてそんな風に感じるのかは自分でも解らないけど……。
「タケ?どうしたんだ??」
「なんでもないよ」
リビングへと《闇己》さんはゆっく車イスを押す。
都心から随分と離れた過疎地域に俺達は暮らしている。
それまでは俺の足の事や治療や俺達の仕事の為に、色々と住所を移すことが多かったけど、ここには随分と長い事住んでいる。
過疎だから、俺の“Yakumo”としての仕事___アクセサリーのデザインと作製にも、近隣に人がいないから文句も出ないし。
車イスでも住み易いように色々《闇己》さんが手を加えてくれて不便もないしね。
うぅ、何から何まで《闇己》さんに頼りっぱなしだなぁ……。
“Yakumo”での収入のおかげでプー太郎ではない事が唯一の救いかな。
遅めの朝食をコーヒーと共に、厚切りのトーストにブルーベリージャムを塗ってから頬張った。
《闇己》さんはプレーンオムレツの脇に添えられたサラダのミニトマトをホークで突き刺しながら、ニュース番組へと変えた。
トップニュースは大規模な逆行症候群についての被害があったみたいだ。
逆行症候群___衣服だけを残して、人が忽然と居なくなってしまう。
最初のころは、神隠しだの、宇宙人など、後は謎のウイルスだのいわれた。
けれど真相は、今の所何も分かっていない。
ここ五・六年は特に被害が多い。
それが日本だけじゃなく、世界各国で起きているんだ。
信じられないよね。
「今日は何するんだ?」
付けっぱなしのテレビをそのままに、《闇己》さんがこちらを向いた。
切れ長の目が柔らかく微笑む。
…………ほ、本当に美形だよね!
心拍数が、今絶対上がったよ!!
顔に出てないといいなぁ……。
「今日は……仁さんに頼まれてたシルバーのデザインをやるつもり」
「そうか」
「後は、今日りなちゃん達が三時頃に遊びに来るんだ!」
「何か茶菓子でも買ってこようか?」
「ありがとー!お願いします!!」
《闇己》さんは本当に優しいと思う。
俺は足こんなんだし、事故から結構長い間意識不明だったのに面倒を看ていてくれた。
俺は___大きな負担だよね。
《闇己》さんのやりたい事の邪魔になっていると思う。
でも。
でも!
俺は少しでも長く、こんな時間が続けばいいと願っている。
傍で一緒に笑い合えてたら、いいと思う。
______もう、失いたくない……
?
俺、今、何考えてたっけ?
年かな?
「早く食べろ。片すぞ」
「!ごめん、もう少し待って!!」
止まっていた手を急いで動かして、レタスにホークを突き刺す。
何か思い出した気がするけれど、それがもう何か分からない。
歯痒く感じる。
頭を振って、思考を止め、ホークを動かした。
誰かが泣いている
独りで泣いている
小さな男の子
泣かないで欲しい
何がそんなに哀しいの?
目線を合わせるようにしゃがむ
俺が一緒にいてあげる
だから、泣かないで
「………!……ケ!タケ!」
「ふぇ?」
「また、居眠りか?」
寝坊助だな、とからかうように《闇己》さんが笑った。
うーん、疲れてたのかな?
《闇己》さんのしなやかな指が俺の頬を撫でた。
その温かさに、ほっとする。
「誰か………小さな男の子が泣いていたんだ」
ぽつりと、《闇己》さんにぼやけた夢の一片をこぼした。
形にならないそれを忘れたくなくて。
いや、忘れちゃいけない気がした。
何も言わずに俺の頭を撫でた。
「その子………すごく哀しんでたんだ。」
「そうか………」
「泣かないで欲しくて………」
「大丈夫だ。大丈夫だから」
包まれる腕に安堵を覚え、それ以上何も言えなかった。
《闇己》さんの『大丈夫』が懺悔のようだったから。
何も言わずに温もりを分け合うこと数分。
先に沈黙を破ったのは《闇己》さんだった。
「双子は急用ができて来れないみたいだ」
「そうなんだー。残念だなぁ」
「ケーキ買ってきたから、元気だせ」
「………最近、俺に甘いもの買い与えて置けばいいかとか、思ってない?」
「食べんのか?」
「食べる」
プッと、先に笑ったのはどっちだったのか。
二人の笑い声で部屋は満たされた。
楽しくて、嬉しくて、きっと幸せの青い鳥はここにいるんだろう。
脳裏に幼い頃読んだ御伽噺の伝説を思い出した。
「俺は紅茶でもいれるか」
「うん!よろしく」
幸せだった。
何も知らず、ただ幸せだった。
ここは幸せの箱庭だった。
何の苦労もせずに手にいれた箱庭。
ずっと同じでいられるわけがないのに。
永遠があると思ってしまった。
忘却の代償はこの後、俺の背にのし掛かる事を、この時俺は何一つ知らなかった。
110320
あとがき
前回の話から随分と間が空いてしまいました。どマイナーなで需要がない作品ですが、読んでいただければ幸いです。今回は前回の最後の日常の延長です。八雲キャラも聖典キャラも空気ですね。次回からは聖典キャラも漸く登場(予定)です。気長に待って下さい。では、また。折角昨日までに本文が打ち込めたのに非公開設定のままでしたorz。アホ過ぎる……。
PR
この記事にコメントする