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感想:ネタバレあり
『魚舟・獣舟』
上田 早夕里の短編集+中編が収められた作品
全体は短編集は異形ものを取り扱っている
独特の世界観がある
短編・中編共に生物系SFものになっているのが特徴



目次
魚舟・獣舟
くさびらの道
饗応
真朱の街
ブルーグラス
小鳥たちの墓(中編)


感想
好み的には『魚舟・獣舟』『くさびらの道』『饗応』ですかね。
あんまり心理描写が多い作品の『真朱の街』『ブルーグラス』『小鳥たちの墓』はあんまり好きじゃないです。
細かく書けているのは解るんですけど、心理描写系って読者が共感あるいは反発を持たないと面白くないんですよね。
理解できない訳じゃないけど、ね?
全体を通しては生物系のSFものですね。


上にあげた三つの中では『魚舟・獣舟』が一番オススメですね。
近未来SFものです。
陸地の殆どが海に覆われてしまった世界で、海に適応した海の民と昔と変わらず陸地に住んでいる陸の民。
主人公は元海の民の男性。
陸のとある場所で獣舟を殺す仕事をしている。
ある日とある獣舟が来ることが解った時、同郷の女性が主人公の下を尋ねて来て獣舟を殺さないでくれと頼むも___。


魚舟とは海の民が海上で生活するための生きた舟。
大きさも区々で多数のコロニーを造る。
獣舟とは魚舟と同じであるが海の民が乗っていない舟。
舟の正体は海の民の双子(分身)。
イメージ的には今市子さんの『孤島の姫君』の姫の設定と似ている。
同じ腹から同時に生まれ、片っぽは人の姿をしていて、もう片っぽが魚の姿をしている。
魚の姿をしている方は海へと離し、成長して帰っていくると双子の人の舟になってくれる。

最初は感動ものかな、と思ったんですけど、最後の最後で予想の斜め上にいきましたね。
過去の因縁がありつつ、どこか冷めている主人公に対して、片割れに括っている女性。
なにより最後の陸へ適応した獣舟の暗雲の立ちこめが、第二章があるのかとwktkしました。
ありませんでしたけどね。



『くさびらの道』も中々に凶悪な設定ですよね。
とある人体に寄生する真菌が発生し、パンデミックを起こしている近未来日本が舞台。
主人公は政府機関関係で真菌に効く薬を研究中。
そうこうしているうちに、実家(両親と妹)が真菌の餌食になって閉鎖。
どうしても、彼らの最後を知りたくて、妹の婚約者と実家へに赴くのだが___。


真菌___キノコは人間のタンパク質を栄養源にして増殖し、幽霊を見せるという。
正確にいうならキノコから放出された幻覚物質で、吸い込んだ者の記憶を利用して幻覚・幻聴を感じさせる。
有効範囲が広く、幻覚に惑わされた人間を苗床にする。

ほの暗さこそ異形モノの神髄ですよね。
人間を捕食することを考えたら、このキノコはかなり有効ですよね。
『情』を捨てきれる人なんて早々いませんし。
例え死んでしまうとしても、誘われてしまう人間はいますし。

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